tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

若年層の失業率の国際比較

2017年06月05日 13時06分07秒 | 労働
若年層の失業率の国際比較
 6月に入って、就職戦線は、試験、面接が解禁となり、いよいよ活発化しているようです。
 ただしこれは経団連傘下の主要企業の話で、一般の企業ではすでに選考も済み、内定を出しているところも沢山あるのでしょう。

 何にしても、就職氷河期から売り手市場に変わって、新卒者も親御さんたちも、本当によかったなと実感しておられるのではないでしょうか。

 未だ経済成長率はそれほどでもありませんが、企業の求人意欲は強く、日本企業の「良い人を早くとって、将来に企業の発展に備えよう」という意欲の強さを示しています。

 ところで、この就職戦線の活況は、実はまことに日本的なもので、今、安倍政権が目指す、働き方改革が「本当に」推進されれば、消え去る可能性があるということ、ご承知の方はどのくらいおられるのでしょうか。

 日本の採用は、就職でなく「就社」と以前から言われ、何か欧米に比べると遅れているように見られたりしていますが、「就活」の活況はまさにそのせいなのです。
 日本のように、職能や専門性よりも、「良い人材」を採用するという考え方は、欧米ではあまり見られません。

 欧米では、仕事があって人がいない「空席(vacancy)」がある時、その仕事に適して人を逐次、採用するのが一般的です。「学校を卒業するから今のうちに」などと、やる仕事が決まっていない人間を「一括して採用する」などは無駄なことと考えます。

 欧米は「仕事中心」、日本は「人間中心」などといわれますが、仕事中心になるとどんな結果になるかを示す指標の一つに「若年者失業率」があります。

 OECDが発表している若年者(15-24歳)の失業率をみますと(2015年)、
 日本(最低)  5.2%、
ドイツ     7.0%
アメリカ    10.4%、 
オランダ    10.8%、
ノールウェイ  11.1%、
デンマーク   12%、
スエーデン   18.8%、
フィンランド  19.9%
イタリア    37.8%、
スペイン    44.5%  などとなっています。

 ヨーロッパ諸国では昔から若年層失業が大問題でしたが、私は半分冗談、半分真面目で、「年功賃金と新卒一括採用を導入すれば問題は解消しますよ」などと言ってきました。

 今の人間中心の日本的経営から、仕事中心の欧米流に変えよう、そして短期的な均等待遇、同一労働・同一賃金を徹底しようという考え方は、雇用だけでなくこうした社会文化的なものにも変化をもたらす可能性を持っているのです。 

 私自身は、かつての 職務給や成果主義の導入と同じように、同一労働・同一賃金も日本企業の手で換骨奪胎され、日本的経営の「人間中心」は残るだろうと思っていますが、今回は「法制度」で縛りがかかります。

 実態や本質を知らない政治家や役人が頭の中で考えたものを鵜呑みにすることは、まさか日本企業ではないと思ますが、矢張りなんとなく心配でもありあります。

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